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駅前の路地裏に、小さな古道具店がある。看板には「なんでも交換処」とだけ書かれており、店主の姿を見た者は少ないという。噂によると、お金ではなく“思い出”や“後悔”と物を交換してくれるらしい。
大学生の航也が偶然その店を見つけた。ふらりと扉を開けると、古びたランプや万年筆、謎の鍵が雑然と並んでいる。店主らしき初老の男性は無言で航也を見つめ、やがて「何と交換するかね」と問いかけた。

航也は、就職活動に失敗し続けた不安をこぼした。店主は奥から埃をかぶった小さな木箱を持ってきて、「その不安とこの箱を交換しよう」と言った。航也は冗談半分で了承し、店を後にした。
帰宅して箱を開けると、中には古びた鍵と小さなメモ。「未来は錆びない」とだけ書かれている。意味はわからないが、なぜか肩の力が抜けて、気づけば履歴書を書き直していた。
数日後、航也は第一志望の会社から内定をもらう。あの不安はどこかへ消えていた。再び店を探したが、路地にそれらしい店はなく、看板も影も形もない。ただ、ポケットには木箱の鍵だけが残っていた。


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